SONY Walkman TPS-L2

 ウォークマンである。どこでも、歩きながらでも音楽が聴ける(オーディオを楽しめる)のは、待望していたスタイルだった。振り返ってみると1979年7月1日発売とある。その年の秋に一緒になる事になるカミさんは、その頃休日になるとママチャリのカゴに大きなラジカセを乗っけて、よく海辺までサイクリングしていたそうな。私は私で、録音したカセットテープの整理に困る程の、FM&TV録音や生録やらの日々。気軽に外で録りだめしたテープを聴けないものかと痛切に感じていた所へ、SONYから新発売告知。衝撃的だった。早速今はシャッター街と化している我が街中の電気屋さんへ出かけて、こういう製品が出たはずだからと説明して予約購入したものである。

 金環食のあった年、久しぶりに書架の奥の方から出してみると、渋谷のハンズで購入した総革製ケースはカビだらけ、ヘッドフォンのイヤーパッドのスポンジはボロボロだったものの、錆びの無い本体が顔を出した。あちこち確認すると、初期モデルの様である。

 コンセプトが秀悦だった。「GUYS&DOLLS」とプリントされたヘッドフォンジャックが2つ。早速追加ヘッドフォンを購入して、二人で聴いたものだった。「HOT LINE」スイッチがついていて、音楽を聴いている時、互いに話したい時に押すと、音にミューティングがかかり本体マイクから声を拾ってヘッドフォンへ流すしくみ。結構このボタンでは遊んだものだ。「HOT LINE」機能は母体となったビジネステレコの録音機構を流用した、SONY設計者の遊び心との解説も見受けられるが、そのスタイル提案に感激したものだった。

 その後は数モデルのウォークマンを買い換え続けた後、MDプレーヤー、2コイン激安や大手純正モデルなどのmp3プレーヤーと時代の変化を追い続ける事になる。しかしながら、初代ウォークマンの歩きながらでも音楽が聴けるコンセプト提案の衝撃や「GUYS&DOLLS」(ファーストモデルプリント、後期モデルは単に A B プリント)や「HOT LINE」に見られる遊び心に勝るものは無いと感じている。

 素人が手がけるのも気が引けるので、オーバーホールに出そうかと思い始めているこの頃である。


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